扉が開かないSONY TC-K222ESJが500円で売っていたので思わず購入してしまいました。
お店で電源をつないでもらったところ、モーターが回るような音がしているのに、扉が開かず、再生、早送り、巻き戻しのボタンを押しても無反応な状態です。
これは典型的なゴムベルトの経年劣化の症状ですが、他にも故障があるかも知れません。
このカセットデッキのメカはSONYサービス内部でもニュータイプと呼ばれ、ESG以降ならTC-K***ESX, TC-K***ESA, TC-K***ESL, TC-K***ESJ, TC-KA*ESはほぼ同じ作りになっています。
メンテナンス性も良く、整備しやすいのでメンテナンス初心者にもお勧めのカセットデッキです。
分解してみました。
まずは蓋を開けてみました。
![蓋を開けたところ](https://konogan.com/wp-content/uploads/2022/07/IMG_0405_DxO-Edit.jpg)
ESJ世代にもなると、上位機種のように高級な部品は使用されてはいないにしてもガラガラでは無いので丁寧に設計されているのが分かります。
![基盤の様子](https://konogan.com/wp-content/uploads/2022/07/IMG_0406_DxO-Edit.jpg)
電動ドライバーがずれた跡を見つけました。
前の人がいじったのでしょうか・・・
![ドライバーの跡](https://konogan.com/wp-content/uploads/2022/07/IMG_0409_DxO-Edit.jpg)
分解整備
さっそく分解整備をしていきます。
デッキ部のメカを取り出しました。
![デッキ部のメカ](https://konogan.com/wp-content/uploads/2022/07/IMG_0411_DxO-Edit.jpg)
上から見ると、ゴムベルトが外れているのが見えました。
この時点ではまだゴムベルトが伸びて外れたのか切れているのかは分かりません。
![外れたゴムベルト](https://konogan.com/wp-content/uploads/2022/07/IMG_0408_DxO-Edit.jpg)
さらに分解を進めていきます。
![分解を進めていくところ](https://konogan.com/wp-content/uploads/2022/07/IMG_0413_DxO-Edit.jpg)
やはりゴムベルトが経年劣化で溶断していました。
形を保ってはいますが、持ち上げようとすると溶けているので黒いべたべたになってしまいます。
![溶断したゴムベルト](https://konogan.com/wp-content/uploads/2022/07/IMG_0416_DxO-Edit.jpg)
ついにデッキメカがバラバラになりました。
![デッキメカをバラしたところ](https://konogan.com/wp-content/uploads/2022/07/IMG_0417_DxO-Edit.jpg)
メンテナンス内容と要領
この後にメンテナンスを行った内容は、
- ギア部分の古いグリスをすべて落として新しくグリスアップしました。
- ヘッドブロック下のベアリングを取り出して洗浄、元々あった場所のモリブデングリスも洗浄して新しくグリスアップしました。
- ESJは液漏れの心配はないので、モーターユニット横のコンデンサーをLCRメーターで点検しました。
- モードコントロールをしているロータリーエンコーダーユニットを分解・整備しました。
- ゴムベルトを2本新品のものと交換しました。
- ピンチローラーのチェックとクリーニングをしました。
- キャプスタンバー、消去ヘッド、録音/再生ヘッドのクリーニングと消磁をしました。
組み上げて動作確認後、
- テープパスを調整しました。
- テープスピードを測定・確認しました。
- オシロスコープでリサージュをモニターしながらアジマスの調整をしました。
- ワウ・フラッターを測定・確認しました。
以上でSONY TC-K222ESJのメンテナンス修理完了です。