今日は、レコーディングウォークマンことSONYのWALKMAN (カセットウォークマン)を修理していきます。
この WM-R202 は名機とされている 再生機能だけのWM-R101にレコーディング機能がついたモデルで、希少な機種になります。
症状は、カセットを入れてボタンを押しても反応なし。ボリュームはガリガリノイズはないものの、カセットテープが回っていないので、ボリュームとともにノイズが聞こえてくるばかりです。
これではアナログオーディオ絶頂期の名機もかたなしですね~
まずは中を見てみました
![WM-R202 蓋を開けたところ](https://konogan.com/wp-content/uploads/2022/07/IMG_1861_DxO-Edit-640x360.jpg)
まずはサービスマニュアルに従い、ネジ4本とボリュームつまみをはずすと裏蓋が開くので中を見てみました。
ゴムベルトが伸びきっていて加水分解してベタベタになりかかっています。モーターが回っても滑って空回りしているので、動かなくなっていたようです。
しかもゴムベルトが変形していて内径を測定できなくなっていました。
ゴムベルトの内径
![ゴムベルトのかわりにタコ糸をつけたところ](https://konogan.com/wp-content/uploads/2022/07/IMG_1862_DxO-Edit-640x360.jpg)
こういうときはタコ糸の登場です!ゴムベルトがついていたとおりにタコ糸を回してテグスを縛る縛り方で縛ると結び目がスライドできるので、そのままきつめに引っ張り、結び目をジェルの瞬間接着剤で固定します。
タコ糸での実測と計算
![タコ糸の内径](https://konogan.com/wp-content/uploads/2022/07/IMG_1863_DxO-Edit-640x360.jpg)
内径は68mmくらいに見えますが、念のため切って長さを計り、計算してみます。
![タコ糸の長さ](https://konogan.com/wp-content/uploads/2022/07/IMG_1902_DxO-Edit-640x360.jpg)
長さが216.8mmだったので計算してみると
216.8 ÷ 3.141593 = 69.009576
なので、内径68mmのゴムベルトをはめ込んでみましたが、ゆるくて滑ってしまいモーターが空回りしてしまいました。
ジャストフィット
![特注したゴムベルト](https://konogan.com/wp-content/uploads/2022/07/IMG_1901_DxO-Edit-640x360.jpg)
そこで、内径65mm 太さ0.7mm の角ベルトを特注してつけてみました。
![ゴムベルトをかけたところ](https://konogan.com/wp-content/uploads/2022/07/IMG_1900_DxO-Edit-640x360.jpg)
今度はちゃんと回りました。
ウォークマンのベルトはもともと内径の規格が68.1mm~69.1mmというように、1mm程度の範囲があり、その上で誤差範囲がプラスマイナス0.5mm、太さの誤差がプラスマイナス0.02mm なので、規格の中心値を65mmとして逆算すると、誤差範囲はプラスマイナス1mmから、もともとの内径の規格が64mm~66mm の一部に重なれば適合することになります。
ワウフラッター測定
![WM-R202の仕様](https://konogan.com/wp-content/uploads/2022/07/2019-07-24_182120-410x360.jpg)
ユーザーマニュアルにもサービスマニュアルにもワウやフラッターの規格が書いてありません。
ゴムベルトを使用していないウォークマンプロが最高値で0.6%wrms程度なので、それより性能が落ちるのは仕方がないと思いつつ、別記事の誰でも簡単!フリーウェアでワウ フラッター測定の方法!で書いた方法でワウフラッターを測定しました。
ワウの測定
![ワウの測定](https://konogan.com/wp-content/uploads/2022/07/wow-552x360.jpg)
3KHzのテープを再生して、ウォークマンのヘッドホン端子からUSBオーディオインターフェースを通してパソコンに接続します。
ボリュームを上げすぎないようにして、パソコンで録音してモノラルのwavファイルを作ります。サンプリング周波数とビット深度は44.1KHZ 16bitにします。
wfguiでwowを選択後、wavファイルを指定すると測定が始まります。
フラッターの測定
![フラッターの測定](https://konogan.com/wp-content/uploads/2022/07/Flitter-552x360.jpg)
wfguiのバージョン2でFlutterを選択後、wavファイルを指定すると測定が始まります。
現在のバージョンでのワウ・フラッター測定
現在のバージョンでは、PCにwavファイルを作らなくても再生するだけで測定できるようになっています!
手順は簡単で、
- 前の記事の誰でも簡単!ワウ フラッター測定用のCD作成!で書いた、フリーウェアのテスト信号発生ソフト-WaveGeneを使用して3KHz, -10db の正弦波をUSBインターフェイスを介してウォークマンで録音します。
- 誰でも簡単!フリーウェアでワウ フラッター測定の方法!で書いた、wfguiを立ち上げて、USBインターフェイスを介して録音したテープを再生する
これだけで測定できます。
驚いたことに wow が0.14%wrms、Flutterが0.644%wrmsでした。まあ、音楽を聞いてわかる程度ですがなかなか健闘しています。当時、使い込んだときよりはゴムベルトが新品の分だけまともに再生されているような気がします。
次にNHKのインターバルシグナルを録音~再生してみました。
NHKのインターバルシグナルは特に良し悪しが誇張して聞こえることで有名な音源で、メーカーのサービスマンでも簡易的にワウ・フラッターを聴いてテストするときに使っていた音源です
【youtubeでのNHK第2放送のインターバルシグナル(例)】
NHKラジオ第2放送 放送開始時のインターバルシグナル
>>>https://youtu.be/I0WXZOCNw4w
NHKラジオ第2放送 放送終了時のインターバルシグナル
>>>https://youtu.be/2kPzFX3XsvA
【修理したウォークマンでのNHK第2放送のインターバルシグナル(例)】
>>>ウォークマンで再生したNHKラジオ第2放送 放送開始時のインターバルシグナル
>>>ウォークマンで再生したNHKラジオ第2放送 放送終了時のインターバルシグナル
TC-D5m(カセットデンスケ)のワウ・フラッター 0.06%wrmsにはかないませんが、ウォークマンなので性能限界といったところでしょうか・・・
あと、測定値の周波数が高め = テープスピードが速めですが、当時のウォークマンは電池が新しいときはテープスピードが速めで、電池が消耗してくると徐々にスピードが落ちてくるので、こんなものでしょう・・。
元通りに組み上げて、修理完了です!
はじめまして。興味深く拝見しました。ボリュームの外し方を教えてください。
ごめんなさい。出来ました。