水洗い最高!
アナログレコードの洗浄にはプロ用のバキューム装置や超音波洗浄機は専用の洗浄液を使う場合もありますが、結局は水ベースで合成されています。
なぜなら、水は極性分子で油溶性のもの意外は何でも溶かす性質があるからなんです。
でも、ちゃんとした洗浄機械をそろえると成るとそれなりのコストがかかりすぎますよね。
手洗いが最適!
そこで手洗いの出番です。 よく、バキューム装置と超音波洗浄機の両方を使うと最高の洗浄力が発揮できるといわれますが、 実は熟練すると手洗いがよごれに即した洗い方が出来て綺麗にクリーニングできます。
聴いてみるとわかると思うので、ちょっとこれを聴いてみてください。音質よりもプチプチノイズがここまで減って自分でも驚いています。
手洗いしたのは、ヘルムート・ヴァルヒャの1948年録音盤のレコードで発売してから70年が経過し、著作隣接権が切れてパブリック音源になったレコードで、6つのパルティータBWV825-830の第1組曲から第6組曲まであるうちの第1組曲BWV825全曲です。
このレコードは赤盤で世界的にも入手困難に指定されている超レアなレコードです。
なぜかハードオフで200円で売っていて、一瞬自分の目を疑いおそるおそるレジに持っていったら本当に200円で驚きました。このレコードを元にロシアの会社がCDを出していますが、東芝EMIはCD化していない貴重な音源でもあります。
>>6 Partita No. 1 in B flat major, BWV 825<<
- Partita No. 1 in B flat major, BWV 825 – 1. Praeludium
- Partita No. 1 in B flat major, BWV 825 – 2. Allemande
- Partita No. 1 in B flat major, BWV 825 – 3. Courante
- Partita No. 1 in B flat major, BWV 825 – 4. Sarabande
- Partita No. 1 in B flat major, BWV 825 – 5. Menuett 1 & 2
- Partita No. 1 in B flat major, BWV 825 – 6. Gigue
6 Partita BWV 825
73年前のレコードで赤盤なのでそれらしい音ですが、磨耗や傷がなければ手洗いしただけでここまでパチパチノイズが綺麗になりました。
カートリッジはDENON DL-103D、ヘッドアンプは DENON HA-1000 なので、バブル当時のメーカー推奨の音になっています。
気になるようでしたら、ダウンロードしてからウイルスチェックして聞いてみてくださいね。
※著作隣接権の保護期間は50年でしたが、2018年12月30日、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」が我が国において効力が生じ、原則的保護期間がそれまでの50年から70年になってしまいました。
落ちない汚れ
とはいえ、落ちない汚れ(ノイズ)もあります。 それは、
- 1. レコードクリーナーなどがレコードと化学的に化合して結合してしまった汚れ
- 2. スラッジなどを抱き込んで化学的に化合して結合してしまった汚れ
- 3. 磨耗、傷
です。
そもそもレコードについている汚れの種類とは?
そもそもレコードについている汚れの種類はいろいろあって、主に
- 1. プレス時の剥離剤
- 2. 鉱物の微粒子(スラッジ)~ミクロン単位から砂の微粒子まで
- 3. ホスファチド(水分にふれると膨らんでベタベタになります)
- 4. タバコのヤニ
- 5. タール状のベタベタ
- 6. カビ
- 7. レコードクリーナーなどのスプレー
- 8. 焼肉などで気化したサラダ油
などがあります。特に2.の鉱物の微粒子は目に見えないぐらいの硬度9の石英の粉塵が空気中を舞っていて、不用意にこすると盤面や溝を傷つけてしまうので要注意です。
レコードの洗い方
私が洗っている順序は
- 盤面を流水で流す
- 緩めの洗剤の泡とスポンジだけでレコードの表面にスポンジがさわらないよう洗い、流水で流す
- 濃い目の洗剤の泡とスポンジだけでレコードの表面にスポンジがさわらないよう洗い、流水で流す
- 濃い目の洗剤の泡を載せてブラシの腹で5回やさしくさすり、流水で流す
- 濃い目の洗剤の泡を載せてブラシの腹で10回やさしくさすり、流水で流す
- 合成したレコードクリーナーでブラシの先で10回やさしくさすり、流水で流す
- 激落ちくんセスキでブラシの先で10回やさしくさすり、流水で流す
- ヤニとりクリーナーでブラシの先で10回やさしくさすり、流水で流す
- 濃い目の洗剤の泡を載せてブラシの先で10回やさしくさすり、流水で流す
- 合成したレコードクリーナーでブラシの先で10回やさしくさすり、流水で流す
- コンタクトレンズ用の精製水で流す
- エアーコンプレッサーの圧縮空気で水分子ごと飛ばす
- 数時間の間、自然乾燥する
で、いちばん神経を使うのは、洗い始めです。 なぜなら、大き目の砂塵がついていて不用意にこするとレコードの溝が傷ついてしまう状態になっています。
それなので、最初は流水で流し、洗剤の泡を染み込ませてなるべく直接こすらないように泡と流水で一番危険なホコリを最初に落としていくわけです。
残滓の残らない洗剤はあるの?
万が一、残滓が残って化合なんてされたら一大事ですよね! 今までの経験で、洗った後に全く針が汚れないのはJOYです!
いろいろ試しましたが、ほかのものは白いロウのようなものが針についたり何かしら残ります。
でもJOYだけだと全部の汚れは落としきれないので、 セスキの激落ち君、ヤニとりクリーナー、自作のレコードクリーナーも併用しています。
自作のレコードクリーナーは、バキュームクリーナーで使用されている高額なレコードクリーナーの組成を再現していて、精製水80%、無水エタノール20%、ドライウェル(界面活性剤)3滴で合成しています。
ブラシは、毛先が0.02mmで溝の奥まで入っていける、デンターシステマの先を切って並べて作りました。
※あと、レコードプレーヤーとカートリッジの設定がうまくいってないと、ビリビリと音割れがしたりボーカルのサ行がかすれた爆発音のようになるので設定方法を詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。