ちょっと前にオーナーさんがTVを観ていたら、NHKでラジカセがブームという話題でSONY CF-1900が8万円超えと放送していたとのことで、どうしても治して欲しいと入ってきました。
症状確認
動作確認をしたところ、
- カセットが動かない
- ラジオもスイッチを押していないと聞こえない
でした。
分解するに当たって、まず電池ケースの蓋を開けたらすごく錆びていました。
これは液漏れした跡なので、どこまで被害が及んでいるのやら・・・
基板がついている、中の筐体を固定しているネジもさびがひどくて開きません・・
分解しました
裏蓋をはずしたところ。
まず、「ラジオもスイッチを押していないと聞こえない」症状は、スイッチの接点不良が考えられます。
古い機種なので、録音/再生の切り替えスイッチも接点不良を起こしていると考えられるので、一緒に取り外して整備します。
場所は基板の赤く囲ったところについています。
2本の切り替えスイッチ
ラジオとテープの切り替えスイッチを分解したところです。
案の定真っ黒です。
ピカールをカッターの刃に塗って、接点を挟み込み数回往復させます。
接点が当たる側のほうもめん棒にピカールを塗って表面をよく磨きます。
両方とも磨き終わったら、ピカールの溶剤(石油系溶剤)をアルコールで落とします。
綺麗になりました。後は接点復活剤を塗布して元のように組み上げました。
次はカセット部です。
ゴムベルトが伸びて外れていました。これは交換が必要です。
見えているところで4本、裏側に1本の合計5本を通販で注文しました。
φ90xt1.2、φ45xt0.95、φ30xt1.2、φ25xt0.95、φ55xt0.95
全部角ベルトです。
問題発生!
ここで問題発生!
どうやら稼動部分の油がこちごとく固着して動きが重くなっています。
これは全バラして固着した油を溶かし、新しいのを刺さないといけません・・・
まずはポーズ機構を外しました。
次にオートシャットオフ機構を外しました。
まだ引っかかってフライホイールが抜けないので、TAPE/ラジオの切り替え機構を外しました。
フライホイールが抜けました。
早送りと巻き戻しのタイヤも外しました。
タイヤの表面もテカテカになっていたので、アルコールで拭きましたが改善しませんでした。
仕方がないのでメチルエチルケトンで拭いて表面を微妙に溶かして汚れも落としました。
軸にもシリコングリスを塗って元に戻しました。
稼動部分の固着した油を溶かして新たな油をさした後、ドライブユニットを組み上げたら本体に戻す前に直流安定化電源を接続して動作確認です
ふたたび問題発生!
しばらく様子を見て異常がないようなので、本体に戻して数時間聞いていたら・・・
最初はプチッ、ポツっというノイズが混ざるようになり、ついには一瞬テープが止まるようになってしまい、
最後には止まってしまいました。
どうなっているのかと、オシロスコープをモーターに供給している基板側に接続してモニターしてみると、波形が脈動していて電圧降下もしていました。
ふと、基板に目が行ったさきでは抵抗が焦げています。すぐ上のコンデンサーも中が固形化して容量が増えていました。
両方とも交換しましたが、症状が改善しません。
時間をおくと、ときおり何事もなかったかのように動いては不定期に止まります。
ドライブしているトランジスターでしょうか?
交換してもやはり症状が改善しません。
動いているときでも波形が少し脈動しています・・・整流不良でしょうか・・?
電源トランスから来ている配線からのダイオードには異常がなさそうです。
※ここからは夢中になってしまって写真を撮り忘れました。
ふと、止まったモーターの配線を基板から外してテスターを当てたら短絡状態でロックしています。
でも、ふたたび時間が経つと直流安定化電源からの電気でも何事もなかったかのように動いては不定期に止まります。
これはモーターに問題がありそうですね・・・
モーターをケースから取り外し、直流安定化電源から電気を流してモーターを回していたら、あろうことか昔の極性がある大きな四角いセラコンのような部品から煙が上がりました。
テスターで導通試験をしたら短絡しています。
モーターの不安定はこれが原因だったようです。
ちょうどストックがあったので、村田から出ている同じ容量のタンタルコンデンサーと付け替えました。
こんどこそ、回転も安定して不意にノイズが入ったり止まったりすることはなくなりました。
これで修理完了です。
めでたしめでたし・・・