適切な道具を選ぶことで、作業の効率が上がり正確なはんだ付けができるので、はんだ付けを行う際には、道具選びが非常に重要です。
でもはんだ付けの道具や便利グッズは種類が多く、どれを選べばいいのか迷ってしまうこともあるでしょう。
そこで今回は、はんだ付けを簡単にする道具や便利グッズをまとめてみました。
記事を読むことで、はんだ付けに必要な道具の種類や役割について理解が深まります。
また、自分にとって適した道具を選ぶことができようになり、はんだ付けの作業に必要な時間を短縮することができるでしょう。
さらに、最近主流になっている無鉛はんだについても触れています。環境に優しい素材である無鉛はんだを使うことで、健康や環境に配慮したはんだ付けを行うことができます。
この記事を読むと、はんだ付けの作業を行う方はもちろん、これから始める方にも参考になる情報が盛りだくさんです。是非最後まで読んでみてください。
はんだごて
はんだごてのワット数と温度
半田ごてのワット数と温度はメーカーやモデルによってさまざまです。
接合強度が一番強くなる半田付けの最適条件は、250度で3秒間とされていて、市販のものはすべてその条件を満たしています。
じゃあ、はんだごてのモデルの違いは?というと、
はんだごてには急速に最適温度に達するモデル、こて先の温度を調節できるモデル、発熱容量(ワット数)の違うモデルなどがあって、
- 電源を入れてから短い時間でハンダ付けをはじめることが出来る急速に最適温度に達するモデル。
- 使うはんだの種類や、接合するパーツによってこて先の温度を調節してハンダ付けをしやすくしたり、パーツの熱破壊を防ぐことが出来るこて先の温度を調節できるモデル(温調はんだごて)。
- 小さいワット数のはんだごてでトランジスターなどの熱に弱いパーツの熱破壊を防いだり、大きなワット数のはんだごてで放熱の激しい部分の半田付け(たとえば、CPUの真後ろなど)に使用したりするさまざまな発熱容量(ワット数)の違うモデル。
があります。
はんだのこて先も数種類の形状があって、
- 狭いところでも周りのパーツに触らないようにハンダ付けできる棒状のこて先
- 精密なハンダ付けができる先が極端に細いこて先
- もっともスタンダードな鉛筆の先をスパッと切ったような形状のこて先
- 熱容量が高く、広い面でもハンダを溶かせるマイナスドライバーの先のような形状のこて先
などがあります。
ダイソーのはんだごてとおすすめのはんだごて
ダイソーなどで売っている30Wの100均のはんだごてはお勧めしません。
なぜならはんだごてのニクロムヒーターから漏れ出る電流でICや半導体の部品が壊れる場合があるからです。
昔ながらの有鉛はんだ(共晶はんだ)を使用するのでしたら30W以上でもきれいなはんだ付けが出来ますが、コンピューターのマザーボードのように何層にも配線パーターンが重なって出来ている積層基板で無鉛ハンダを使用する場合は30Wのはんだごてではうまくはんだ付けが出来ず、使い物になりません。
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じゃあ、おすすめのはんだごては?
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やはり昔からプロも使用している白光や大洋電機のセラミックヒーターが付いたはんだごてが安心です。
主流の無鉛はんだを使用するのであれば、40W以上のものか、こて先の温度を調節できる温調はんだごてが必要です。
私は通常使用で40Wのはんだごてにはんだを載せやすい平らなD型と呼ばれるマイナスドライバーの先のような形をしたこて先を使用しています。
はんだごてスタンド(はんだこて台)
熱くなったはんだごてを置く台(スタンド)です。
スポンジに水を染み込ませておいて、余分なはんだをこすって落とします。
ダイソーのはんだごて台
ダイソーのはんだごて台は水を染み込ませるスポンジが入るところがないので不便なところと軽いのですぐ転倒しそうなところが気になります。
長時間使用するのに市販のはんだこて台だと落としたはんだの置き場所がなくて困る場合は、自作のはんだごて台と組み合わせて使用することも考えられますが、軽いので転倒してやけどをしないよう十分注意する必要があります。
おすすめのはんだごて台
熱くなったはんだごてをしっかり置けて、はんだを落とすときに動かない重いものがおすすめです。
※こて先のはんだを落とすクリーナーが付いているものが多数ですが、スポンジはそのままよりも端のほうに切り込みを入れておくと、余分なはんだを切り込みのところに落とすので、何度もスポンジに先をこすって落とす必要がなくなります。
※クリーナーにはワイヤー式のものもありますが、スポンジに水を含ませるタイプのほうが、こて先の温度を下げることが出来るので調節しやすく便利です。
はんだごて台(はんだごて台)の自作
市販のはんだごて台だとこて先から落としたはんだが多すぎて、はんだを落とそうとしても前に落としたはんだがこて先についてしまって困る場合は、クリーナーの自作をお勧めします。
缶詰のケースをいくつか利用して、落としたはんだが大量に出てもこて先に付かないように作りこみます。
はんだ補助クリップ(ツールクリッパー)
はんだ補助クリップ(ツールクリッパー)とは
はんだづけするときに、片手にはんだごて、もう片方にはんだを持ってしまうとコードとプラグなどをはんだづけするにはコードとプラグも固定する必要が出てきます。
両手が開いていなときに材料をくわえさせて固定してからはんだづけをすると、コードとプラグにかぎらず、とてもやりやすくて便利です。
ツールクリッパーにはただのクリップだけのものととレンズがついているものがあって、レンズがついているものは表面実装のパーツなど細かいものをつけるなど、用途別に使い分けます。
はんだ
はんだ付けに使うはんだの種類と成分
現在主流のはんだは無鉛はんだで鉛が含まれていないはんだです。
出た頃は非常に難しくなかなかうまくできないはんだでした。
現在の一般的な無鉛はんだの構成はスズ96.5%、銀3%、銅0.5%で融点は217℃です。
一方、昔ながらの有鉛はんだ(共晶はんだ)も使われています。
有鉛はんだ(共晶はんだ)の組成はSn(錫)63%とPb(鉛)37%の合金が一般的で、融点は錫と鉛の割合によって183度まで低くなります。
共晶はんだは濡れ性が良く、はんだの溶ける温度も低いので光沢があってきれいな仕上がりになります。
おすすめのはんだ
おすすめのはんだは、直径0.3mm、0.6mm、0.8mm を持っていると細かい表面実装のはんだ付けから通常のはんだづけまで効率的になります。
メーカーでは無鉛はんだが主流ですが、オーディオ用では音質に影響があるとして有鉛はんだを使用しているところもあります。わたしもオーディオ用には昔のはんだ(共晶はんだ)を使用しています。
手動はんだ吸取機
手動はんだ吸い取り機とは
圧縮されたばねの反発力でピストンを動かし、その力でできた空気圧ではんだを吸い取る手動式のポンプです。
はんだごてではんだを溶かしてから吸取るタイプ(従来型)と先がはんだごてのように加熱してハンダを溶かしながら吸取るタイプ(はんだシュッ太郎)のものがあります。
※発熱しない従来型は先のところに耐熱のシリコンチューブをつけておくと効率が上がります。
はんだ吸取線
はんだ吸取線と使い方
はんだ吸取線とは、細い導線を組んだところにフラックスが染み込ませてあって、吸取るはんだと熱いこて先の間に挟むと、溶けたはんだが毛細管現象ではんだ吸取線に染み込むアイデア商品です。
おすすめのはんだ吸取線
はんだ吸取線は何種類か太さがありますが、1.5mm 2mm 3mmのものを用意しておくと、吸い取る範囲に応じて使い分けが出来るので便利です。
あらかじめフラックスを染み込ませて乾かしてあるものは吸い取り性能が抜群で使いやすくなっています。
なかにはフラックスを染み込ませていないタイプもあるので確認が必要です。
はんだ吸取線の代用品
はんだ吸取り線の代用としては、ケーブルの組線部分(シールド部分)が使用できます。
ケーブルの組線部分を少し切り出してフラックスを染み込ませるとはんだ吸取線として使用可能です。
ですが、コストはケーブルのほうが高いので間に合わせ程度に覚えておくと良いでしょう。
はんだフラックス
はんだフラックスとはんだペーストの役割・違いと成分
はんだフラックスとはんだペーストの役割はどちらも金属表面の参加皮膜を取り除いてはんだが付きやすくする役割を持っています。
はんだフラックスとはんだペーストの違いは、はんだフラックスの場合ははんだ付けが終わったらそのままにしておくと基板の胴が腐食するため、フラックスクリーナーなどでクリーニングが必要になります。
その違いは成分にあります。
フラックスはアルコールに松脂を溶かして出来ていますが、はんだペーストは塩化亜鉛、塩化アンモニウムなどが含まれています。
はんだフラックスの使い方
はんだフラックスは、剥いた線材の先や基板のはんだをつけるところに塗ってそのままはんだ付けします。
電動はんだ吸い取り機
電動はんだ吸い取り機とは
上の手動のはんだ吸い取り機を電動で動かして連続してはんだを吸取る機械です。
どんなときに使う?
ICやコネクターなど、足が多い部品を外すときに使用します。電動で吸い取るので穴の中にはんだを残すことなく吸い取れて効率よく足が多い部品を外すことが可能になります。1台持っていると非常に効率が上がります。
電動はんだ吸い取り機の自作
上のはんだシュッ太郎に水槽用のポンプの弁を逆にしたもの、フットスイッチを組み合わせて自作することも可能です。
自作すると、安く出来るので挑戦する価値はありますね・・・。