SONY NAC-HD1とは
SONY NAC-HD1は、2007年5月21日に発売されたハードディスクオーディオレコーダーで、
- 高音質の音楽録音: さまざまな音源から高音質のままHDDに録音できます。リニアPCM録音に対応しており、CDからHDDへ最大約16倍速で録音できます。
- 自動分類と曲タイトル入力: ラジオの音楽とトークを自動で分類し、曲タイトルも自動入力されます。
- ジュークボックスのような再生: お気に入りの音楽をHDD再生で楽しめます。曲の検索や再生もスピーディーです。
- ネットワーク対応: インターネット経由で音楽を購入できる「エニーミュージック」や、パソコンから楽曲を取り込む機能もあります。
- 使い勝手の良い操作: 鮮やかなフルカラー表示のディスプレイやリモコンで快適に操作できます。
など、便利機能がたくさん詰まったオーディオ機器です。
電源が付かなくなってしまったとのことで、依頼修理を受けました。
修理開始
蓋を開けて症状の確認です。
コンセントを刺すと自動で起動して設定を始めるはずですが、電源が入りません。
故障部分を探る
故障しているのがマザーボード側か電源側かを切り分けていきます。
トランスとトランスボード
コンセントを入れた状態で、プライマリーボードに電源が来ているかどうかをテスターで測定したら、来ていたので電源コードの断線ではないようです。
次にトランスに電気が供給されているかどうかを測定したところ、トランスの1時側に電気が供給されていないのを見つけました。
・・ということは、どうやらトランスボードの前のプライマリーボード内に故障原因がありそうです。
プライマリーボードの取り出し
プライマリーボードを取り外しました。
サービスマニュアルの参照
ここで、サービスマニュアルを参照します。
プライマリーボードの回路と部品配置図
プライマリーボードの回路と部品配置図があるとわかりやすいので、印刷して横に置いておきます。
ヒューズの導通確認
ヒューズに導通があるか、抵抗レンジで確認しました。
導通OKでした。ヒューズは切れていないようです。
よく見ると、普通の即断ヒューズではなく、じわっと切れるタイプのヒューズが付いています。
リレーの動作確認とメンテナンス
リレーが目立つので、外して3vを加えて動作確認をしてみたら正常に動作しました。
蓋を開けたら古い機械だけあって接点が硫化物の被膜でおおわれて真っ黒だったので、筆に接点洗浄剤を含ませ優しく塗布した後、金メッキに傷がつかないように注意しながらコピー用紙に接点洗浄剤を含ませ優しく拭いて汚れを落としました。
ダイオードとコイルの動作確認
次にダイオードをテスターでチェックしました。
わたしのテスターはダイオードと導通チェックがないので、抵抗測定の最大レンジで測定しましたが、両端がコイルにつながっているもの以外はすべて正常でした。
コイルはLCRメーターのコイル測定で何mH(ミリヘンリー)あるのかを測定しました。
切れていれば測定できないはずですが、すべての端子で正常でした。
電解コンデンサーの測定
ボードを見ると、次は電解コンデンサーが目立ちます。
サービスマニュアルの部品表では・・
とありました。
実際に外して測定してみると、なんと1μF 160V のコンデンサーのESR値が40Ωで完全に消耗していました。
よく見ると、jAMICONと書いてあります(写真下)。
どこのものかと調べたら中国製でした。
写真上の新品のものはニチコン製ですが、国内では見つからなかったのでアメリカから逆輸入しました。
電解コンデンサー部品交換
完全に消耗した中国製の電解コンデンサーを交換したほか、220μF 10V の電解コンデンサーもESR値がばらばらだったのでこちらも日本のニチコン製に交換しました。
動作確認
ここまでで仮組して電源が入るかどうか、緊張の一瞬です!
電源が入って無事立ち上がりました!
全体的に動作確認をして、修理完了です。
めでたし、めでたし・・